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4.聖武天皇の御代(724〜749)
4.16 福引き(天平二年(730)正月)
正月十六日は、踏歌(とうか)節会で、足を踏みならしながら歌う宮廷宴会が開かれる日じゃ。この日の『続日本紀』は、次のような記事を載せておる。
「天皇は、大安殿に出御して、五位以上の官人を召して節会の宴を開かれた。夕方、皇后宮に移られた。百官の主典(さかん)以上は天皇に従い、踏歌を奏しながら皇后宮に向かった。天皇は官人を宮内に引き入れ、酒食を賜った。また、短籍(たんじゃく)を引かせた。短籍には、仁・義・礼・智・信の五文字が書かれており、その文字に従って物を賜った。仁を得た者には絁、義には糸、礼には綿、智には布、信には常布(じょうふ:商品用の布)が与えられた」
当時の皇后宮は、もとの藤原不比等邸で、平城宮の東隣にあり、後に法華寺となったところじゃ。大安殿からそこまで、踏歌の列が進んだわけじゃ。そして、踏歌の宴の一環として、福引きが行われたのじゃ。短籍は、短尺とも書き、短冊のことじゃよ。多くの木簡のいくつかに、仁・義・礼・智・信と書かれた木簡が混じっており、これを引き当てると賞品が下賜されたわけじゃ。短籍については、『続日本紀』の中でもこの記事にしか見られないが、福引きが踏歌節会の余興としてしばしば行われておったようじゃ。このような福引きはいつ頃始まったのじゃろうか。
にぎやかに踏歌を奏して、高揚した気分の中で行われた福引きじゃ。当たったと言って歓声が上がり、はずれを引いては笑い声があがる。さぞかし盛り上がったことじゃろう。平和で楽しい正月の雰囲気が彷彿とされるようじゃ。それにしても、当たり籤が仁・義・礼・智・信とは、何とも道徳的で、籤のギャンブル性とのミスマッチが面白いじゃろう。
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