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最後に、日本の「人権主義者」がイギリスの刑事司法制度のこと
は言わない理由をもう一度おさらいしてみよう。
1.イギリスでは「三権分立」が確立しておらず、議会(立法府)、
政府(行政府)の二元体制となっており、裁判権はその下に立つ。
2.法曹が「ソリシタ」という特権階級により形成され、上級裁判所
の「裁判官」も彼らに独占されており、民主的が運営がなされていない。
3.裁判の主要を占める「治安裁判所」は一定の階級、つまり富裕層
などから成る「素人裁判官」の手によって構成されている。
4.逮捕・捜索の令状が捜査機関独自で発布できる。
5.黙秘権の保障がない。
法制度に限らず、制度というものはその国の長い間の歴史・文化
そして民族性に裏づけされたもので、どの国の制度が優れているなど
と言うのは間違っている。例えば、アメリカ・イギリスなどの英米法
諸国では被疑者・被告人の人権が最優先され、事実の究明はその上
に立つという法思想が培われている。これに対し、フランス・ドイツ
などの大陸法諸国では真実の究明こそが至上目的とされ、被疑者・
被告人の人権はそれに立った上でのものとされる。つまり、真実
究明がなされれば、自ずから冤罪などが無くなり被疑者・被告人
の人権がまっとうされるというのである。前記のとおりイギリス
ではこうした偏った人権主義が真実究明のみならず治安の悪化を
招いているとしてその思想を修正しつつある。これもその依って
立つ法思想も変革を許さない磐石なものではなく、時の政治情勢・
社会情勢によって揺れ動いていることを示している。日本もかつて
は大陸法思想を基盤としていたが、アメリカの侵略により英米法
思想が採り入れられた。しかし、長い間の法思想はそう簡単に
しかも劇的に変革できるものではなく、大陸法思想と英米法思想
が並存しているという世界的に見ても極めて珍しいものとなって
いる(そのため、欠陥も露呈している)。
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